研究会について

長野県歯科インプラントネットワークの設立について

1980年代に欧米を中心に始まった歯科インプラント治療は、本邦においても1990年代に急速に導入が進み,現在では「自分の歯のようにしっかり噛める画期的な治療法」として認知され、一般歯科医療の現場で広く行われる治療法となりました。

しかしながら昨今、国民生活センターは5年間で2,000件の相談が寄せられたとして、行政、歯科医師会および関連学会に「インプラント治療のトラブルに関する要望書」が提出されました。インプラント治療に関連して歯科医師のミスや技量不足のために大量出血したり、麻痺が残ったりするトラブルが相次いでおり、死亡事故などもおきているとして、マスコミはこれらの問題を大きく報道しています。歯科インプラント治療は国民の信頼を大きく損ねてしまいました。歯科インプラント治療において多くのトラブルが発生している事は紛れもない事実であり、この問題の解決無くして国民の信頼を回復することはできません。

トラブル発生の要因としては、歯科インプラント治療に関する情報・教育の不足、術者の経験・技術不足、倫理観と医療安全の問題、病診連携体制の未発達、メーカー主導の普及活動などが考えられています。また、国民がもつ誤った情報は、インプラント治療に対する過度の期待や誤解をもたらし、トラブル発生を助長しています。

そこで今回、上記問題に対処し、長野県で安全かつ有効なインプラント治療を推進するために、“長野県歯科インプラントネットワーク”の設立を計画しました。本ネットワークの目的は、

  1. (1)歯科インプラント治療に関する情報提供および共有
  2. (2)歯科インプラント治療に関する教育、研修
  3. (3)診断、技術提供、トラブル対応などの病診連携ネットワークの構築
  4. (4)県民に対する歯科インプラント治療に関する啓発
などです。

本ネットワークは、歯科インプラント治療に携わる多種の歯科医療関係者が集まり、広くインプラント治療に関する知識や臨床技術の習得向上を図り、県民に安全な歯科インプラント治療の提供を目指すものです。 趣旨をご理解頂き、是非ご参加、ご協力頂きますようお願い申し上げます。

平成25年1月 吉日

長野県歯科インプラントネットワーク
世話人代表 松本歯科大学  植田 章夫
事務局   信州大学医学部 栗田 浩
世話人一同

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